防腐合板とは?

腐朽や蟻害を防ぐ処理を施した合板です。保存処理剤を加圧注入したものが信頼できます。

 腐りにくくしたり、シロアリの被害を防ぐことを目的として、保存処理を施した合板を「防腐合板」と呼びます。
 (財)日本住宅・木材技術センターによる AQ認証(優良木質建材等認証)の防腐・防蟻処理構造用合板には、合板又は単板に保存処理剤を加圧注入する方式と、接着剤に保存処理剤を混入する方式の、2種類があります。
 加圧注入方式はJIS規格に規定されており、大きな圧力容器(注薬缶)の中に入れて最初に減圧することで、合板又は単板内部の空気を抜き、次に 10気圧以上の高い圧力をかけながら保存処理剤を合板又は単板の内部に注入含浸する方法です。高い圧力で注入含浸するため、保存処理剤が十分に浸透(浸潤)し、長期の耐久性が期待できます。このため、加圧注入方式の方が、より信頼されています。

加圧注入方式による防腐合板の製造工程の例

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防腐合板を使用する3つの理由とは

①超長期耐久・高耐震住宅の実現、②維持管理が容易、③万がーの暇疲にも安心

①超長期耐久・高耐震住宅の実現
 成熟した社会に豊かな住環境を整える政策課題として、長期間にわたって循環利用できる住宅、つまり「超長期住宅」が挙げられています。
 具体的には、
・スケルトン(構造躯体)を耐久性・耐震性に、インフィル(内装・設備)を可変性に優れるようにし、堅牢で、かつ変化する住宅の 実現
・次世代へ引き継ぐにふさわしい住宅の質(省エネルギー・バリアフリー)
・周辺の町並みとの調和などが目指すべき項目です。防腐合板を使用することは、このうち特に、「スケルトンを耐久性に優れ るようにし、堅牢な住宅を実現する」ことに貢献できます。

 また、平成18年9月に閣議決定された「住生活基本計画(全国計画)」においても、新耐震基準(昭和56年基準)が求める耐震性を有する住宅ストックの比率を、平成15年の75%から平成27年には90%に引き上げる目標が掲げられ、耐震診断・耐震改修を促進しています。
 防腐合板を使って耐震補強をすることによって、耐震性の高さが長もちします。

②維持管理が容易
 長期間にわたって住み続けるためには、住宅の点検やメンテナンスが不可欠です。ところが実際には、壁の内側などは壁をはがさなければ手を入れられないので、なかなか大変な作業になります。防腐合板を使用することによって、これらの部位の耐用期聞が長くなり、点検やメンテナンスの間隔を長くすることができます。

③万がーの暇庇にも安心
 新築住宅の売主等は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、住宅の主要構造部分の暇庇と、雨水の浸入の暇庇について、10年間の暇庇担保責任を負うこととされています。この場合の主
要構造部分とは、「柱や梁など構造耐力上主要な部分」で、暇庇とは本来の機能を満たしていないことなどを言います。もちろん、10年以上の耐久性が求められることは当然ですが、少なくとも10年間は傾斜やひび割れ、欠損、変形を発生させることのないようにしなければなりません。もし暇庇が生じた場合には、建設業者が無償補修等の義務を負います。
 防腐合板を使うことによって、暇庇の発生を長期にわたって抑制することができます。

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防腐合板を使用すべき部位とは

1階外周壁、 1階床組、各階水まわりに、防腐合板の使用をおすすめします。

 腐朽や蟻害を受けやすい部位は、方位や上下位置、建物部位によって違いがあり、建築基準法施行令では、第49条外壁内部等の防腐措置等に、「構造耐力上主要な部分は、地面から1m以内に防腐・防蟻処理を講じる」と規定されています。また、フラット35(公庫証券化支援住宅)の工事仕様書には「土台の防腐・防蟻措置は、高耐久樹種または防腐・防蟻処理材を用いる」と規定されています。
 しかし、これらは最低基準を定めた規定です。住宅をより長もちさせるためには、腐りやすい1階床組や耐震性の要となる1階外周壁のすべてに、防腐合板を使用することをおすすめします。
 さらに、地面から1m以上の通し柱、管柱、間柱、土台、大引き、束、火打ち土台や胴縁について加庄式保存処理木材を使用すると、より一層の耐久性の向上が期待できます。
 保存処理は、現場塗布よりも工場生産の方が品質が安定しています。また、現場塗布では塗布量が量れない、骨組み施工後の塗布では仕口など材料の重なり部分を処理できないなどの問題があります。

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耐震性の向上に貢献します

 防腐合板を耐力壁の面材として使用することで、耐震性の向上に貢献します。ここでは、木造軸組構法及び、枠組壁工法の構造用合板を張った耐力壁の仕様を紹介します。木造軸組構法は、大壁造と真壁造の別によって合板の張り方が異なります。
 また、改正された昭和56年建設省告示第1100号に基づいた、根太省略工法による床勝ち仕様もあります。(杜)日本木造住宅産業協会では、構造用合板を使用した床勝ち仕様の耐力壁で大臣認定を取得し、広く使用できるようにしています。これによって、筋かいを使わずに面材のみで耐力壁を構成し、資材の統ーを図ることができるようになりました。

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防腐合板の安全性は?

加圧注入処理に使用する保存処理剤は、人に安全で、環境に悪影響を及ぼしません。

 加圧注入処理に使用する保存処理剤は、]IS規格や JAS規格で許可された安全なものを使用しています。認定された保存処理剤は、いずれも毒物劇物取締法に指定されていない「普通物*」です。

使用時・加工時の安全性
 合板又は単板中に加圧注入された保存処理剤は、木材の組織内に強く固着もしくは吸着され、水に溶けない状態になっています。このため、防腐合板を使用している聞はもちろん、切削加工する時でも、特別な危険はありません。また、厚生労働省による揮発性有機化合物 (VOC)の室内濃度指針が示されている化合物や、建築材料への使用が禁止されたクロルピリホスは含まれていません。

火災時の安全性
 防腐合板を燃焼させて発生するガスを分析したところ、無処理の合板とほとんど同じ成分で、人の健康を害するようなガスの発生はありませんでした。つまり、防腐合板を使用した建物が火災に遭っても、防腐処理材がヲ|き起こす問題はありません。

廃棄処理時の安全性
 保存処理剤にはビ素やクロムが含まれていないため、無処理木材と同様に産業廃棄物としての処理で問題ありません。
*毒物劇物取締法の区分の一つ。毒物、劇物、普通物に区分されています。

AQ認証(優良木質建材等認証〉を取得している防腐合板を使おう
 防腐合板の防腐性能は、(財)日本住宅・木材技術センターが客観的に評価し、優良な製品を優良木質建材として認定しています。認定されたものはAQマークを表示して、販売されています。

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防腐合板はいつまでもつの?

超長期住宅に十分対応できる防腐性能を保持しています。

 防腐合板の耐久性は、防腐性能と接着耐久性に分けて考えることができます。加圧式木材保存処理をした杭を、最も厳しい環境である屋外の地中に埋めて20年近く経過した現在でも十分な耐久性を維持していることから、超長期住宅に十分対応できる防腐性能を有していると考えられます。接着耐久性については、 JAS規格に準拠した試験により、無処理の合板と同等であることがわかっています。

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鉄釘への影響は?

防腐合板や防腐処理木材は、鉄釘の耐久性に悪影響を与えません。

 保存処理剤のJIS規格には、鉄釘に対する性能が規定されています。防腐合板や防腐処理木材に鉄釘を打って、錆の発生状況を調べた結果、鉄釘の耐久性への悪影響は見られませんでした。
 その他の金属の影響については、現在、研究を進めています。
 下の写真は、鉄プレートを、水及び保存処理剤に入れて、40℃土2℃の恒温槽に1週間放置した結果です。水に浸けた鉄フ。レートは腐食が確認されましたが、保存処理剤に直接浸けた鉄プレートには腐食が確認されませんでした。この結果から、保存処理した合板は鉄釘を錆ぴさせることはないと判断されます。

NZくぎ・ CNZくぎ
 木造軸組構法でさらに耐久性を高めたい場合は、JIS A 5508-2005に規定されるNZくぎ(めっき鉄丸くぎ)、又はCNZくぎ(めっき太め鉄丸くぎ)を推奨します。ただしこの場合は、あらかじめ建築主事又は確認検査機関に確認して下さい。

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壁内結露を生じても大丈夫?

万が一、壁内結露を起こしても、防腐合板なら安心です。

 工法や金物をどんなに工夫しでも、部材そのものが腐ってしまえば、建物の初期強度を保つことができません。
 ところが、建物の経年変化や小さな地震の繰り返しなどによって気密性が低下し、壁の内部に水や水蒸気が浸入してしまう可能性があります。建築当初の施工ミスや、生活による水蒸気の過度の発生によっても、このような事態が発生します。入ってしまった水蒸気を排出できないと、壁内結露を起こす可能性があります。
 木材は、水分が存在すると腐りやすくなりますが、万が一、このように水分が浸入した場合でも、防腐合板を使用していれば安心です。
 また、最近話題になっている超長期住宅にはメンテナンスや点検が不可欠ですが、実際には外壁の内側などのメンテナンスや点検は容易ではありません。防腐合板を使用することによって、このような部分の点検やメンテナンスの間隔を長くすることができます。

「壁内結露」の基本的な考え方とその対処
 「表面結露」は外装材や内装材のシミ・カピなどの汚れに直結し、「壁内結露」は木材の腐朽を引き起こし、蟻害などを招きます。ですから、躯体の耐久性において問題となるのは壁内結露です。
 住宅の室内外に温湿度勾配があると、壁を通って熱や水蒸気が流れます。冬季は室内が暖かく、室内の空気には水蒸気がたくさん含まれています。建物内部から外気に向かつて湿った温かい空気が流れ出るため、この途中に露点温度以下のところがあると、その部分で結露してしまいます。特に、断熱材の外気側は低温になりやすいので、壁の内部で結露を起こしてしまいます。このような現象を壁内結露といいます。これは冬季に限らず、夏季にも見られる現象です。夏季には、外が暖かく水蒸気を多く含んで、おり、室内が冷えているため、逆の現象が起きるのです。雨上がりなど、窓ガラスの外側に結露しているのを見かけるのはこのためです。冬季の壁内結露を防ぐためには、室内側に防湿シートを施工し、壁の中に水蒸気を入れないようにする必要があります。しかし、実際には、コンセントや、換気口、開口部などで穴が開けられており、完全に水蒸気を入れないようにするのは困難です。入ってしまった水蒸気を外に逃がすために、外壁の層構成を室内側から外気側に向かつて、順番に透湿抵抗が小さくなるように設計します。
 夏季の壁内結露の場合は、暖かい季節ですので、壁内があたたまれば、また水蒸気となって透湿抵抗の小さい方へ排出されます。

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防腐合板は高いの?

プラス3万円で外壁に防腐合板を使用することができます。

 防腐合板が良いことはわかっても、費用の面が心配になるかもしれません。
 合板の防腐処理費用は、1㎥当たり約40,000円、合板1枚(3x6判、厚9mm)当たりで考えると約600円です。木造一戸建て住宅(2階建て、延床面積 35坪のモデルで計算)の1階墜に必要な防腐合板の量は下表のように0.75㎥なので、住宅全体でも約3万円のコストアップにしかなりません。
 1階床に防腐合板を使っても、約6万4,000円のコストアップで済みます。
 さらに、土台など防腐処理が必要な木材は、同じ規模の住宅で3.87㎥になります。木材の防腐処理費用は、1㎥当たり約35,000円ですから、この分の防腐処理費用は約13万 5,000円ということになります。
 平成18年度の木造住宅の平均建築工事費は約1,790万円*なので、これは建築費全体からみるとかなり低い割合と言えます。防腐合板を使うことで、業者にとっては暇庇で建て替えるという経済的なリスクが軽減し、住まい手にとっても、高い耐震性が長期間保持でき、生命と財産を守ってくれるので安心です。住宅の改修費用なども減るので、長い目で見ると、大変経済的です。

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防腐合板の種類・サイズ

 腐りにくくしたり、シロアリの被害を防ぐ乙とを目的として、保存処理を施した合板を「防腐合板」と呼びます。防腐合板のうち、加圧注入方式はJIS規格に規定されており、大きな圧力容器(注薬缶)の中に入れて最初に減圧することで、合板又は単板内部の空気を抜き、次に 10気圧以上の高い圧力をかけながら保存処理剤を合板または単板の内部に注入含浸する方法です。そのため、保存処理剤が十分に浸透し、長期の耐久性が期待できる乙とから、防腐合板の中でも加圧注入方式がより信頼されています。構造的に重要な部位、腐りやすい部位、メンテナンス困難な部位には、特に加圧注入方式の防腐合板の使用をお奨めします。

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